2013年6月17日月曜日

熊さんには近づかないように

今日は平日やけど、先日書いた今週末にカルガリーを去る先生を最後の記念にバンフ、レイクルイーズへガイドしてきました。まあ、ある意味仕事の一環?

僕も久しぶりに春のカナディアンロッキーを満喫して、先生ご夫妻にも出発前に最高の一日を贈ることができたようで本当に良い一日でした。


こんな感じの景色。下の写真は先日モーレン湖へ自転車で行ったときに、あまりに綺麗で見とれてたけどカメラがなかって撮れなかった景色を、今日初めて写真に収めることが出来たとっておきの一枚。


ところでね、そんな素敵な一日にちょろっとだけ水をさすようなハプニングもありました。

まあ、タイトルにあるように熊さんに関することやねんけど、本当に人の無責任さというか意識の低さにあきれるのを通り越して少し怒りのようなものを感じた事件でした。

というのは、やっぱり一昨日の投稿で書いたように、春になって熊さんは人の出入りする辺りに降りてきてるんですよ。というよりも正確に言うと、冬の間人が出入り禁止になっている熊さんの生活圏に、春になって人が出入りするようになってるのかな。

モーレン湖に着いて先生達が少し散歩に行っている間に、僕が荷物を取りに駐車場の車に戻りかけたとき駐車場に人だかりが出来ていて、まあ感ですぐ分かるんですよ、野生動物が降りてきてるんや、って。でもまさか熊やとは思わずに自分の車にまでいってその人だかりが見ている方向をみると、もう、明らかにグリズリーですよ。

まだ子供のサイズかも知れんけど、立ったら2メートルくらいはあるんじゃないかという、立派な熊です。

始めは人も遠巻きにして見ていて、僕も自分の車にいつでも逃げ込める状態でカメラに収めることが出来た貴重な一枚がこれ。


少し小高い丘になっているその上にいる熊の背中、と頭が少し写ったくらい。これ以上は熊がこちらに降りてくるか、よっぽど高い台に乗ってカメラを向けないと写らんくらい。

写真が残って僕が残らないのは嫌なので、暫し車の側で(当然扉を開けていつでも飛び込める状態で)熊さんの動きを観察してたんですよ。熊さんもこちらには興味がないみたいやし、当然こんな間近に熊を見られるなんてそうあるもんじゃないですから。

でもね、人って集団でいるとちょっと油断するというか、はっきり言うとアホになるみたい。少しずつね、人が近づいていってるんですよ。携帯やカメラをを向けてベストショットを狙って。

上の写真で言うと、このフレームに入るか入らんかという丘の中腹辺りまで。まあ、熊の視界に入る辺りというのか・・・

ちょうどね、一昨日にバンフでガイドをしている友達と、熊の恐さと人の意識の低さというのを話してたとこ。

「おいおい、マジかよ」ってビックリしながら人と熊を両方注意してみてたんやけど、これまた数人が行けばもう数人が行くという感じでどんどん人が熊に近づいていったんよ。

もう僕は端から見ていて心臓バクバク。でもまあ、言うたら悪いけど、知らんおっさんが大勢アホをさらしてるだけやと思って見てたんやけど、しばらくすると、やっぱり大人のすることは子供が真似するってよく言ったもんで、小さい女の子が大人の後を追って近づいていったんよ。

今書きながら思い出してもちょっと心臓バクバクしてきたけど、もうそのとき僕は「アカン」って思って車のクラクションを思いっきりならしまくって、大声で「そこの女の子戻りなさい。おっさんらも近づき過ぎや」って叫びました。

でもね、その先日話してた友達の言った通り、みんな僕に白い目を向けて「うるさい」って言ってきましたね。アホばっかしや。でももう、あかんもんはあかん、目の前で人が熊に引き裂かれるのを見るのは嫌なので、クラクションをならし続けて「離れろ、食べられるぞ」って1人でひたすら叫んでました。孤軍奮闘・・・

あのね、別に正義の味方ぶるんじゃないんやけど、1人で数十人の群衆に注意を喚起するってなかなか孤独なもんやったよ。今でもあのドキドキは残ってる。

途中でNational Parkのレンジャーが来て僕のことをフォローしてくれて、僕のことを端から文句言ってるおっさんに「彼のしていることは正しい」って言ってくれたのは本当に嬉しかった。

だって、僕自身そのガイドの友達と話をしてたから、こういう場合の対応の仕方って聞いて知ってはいたけど、それがどういうことなのか実際知らんから。

僕が知っているのは、もし何かの拍子で熊が暴れだしたら、当然人の被害はあるし(それもとても残酷で甚大な被害が)、その場合熊は射殺の対象になる訳やねん。でも、みんな観光旅行やしそんなこと知らんよね。

幸いにもぼちぼち人も少し冷静さを取り戻したのか、丘の上から車の側まで降りてきて、熊と人との距離は随分離れて、僕が叫んで言ってたようにそれぞれ自分の車の近くからカメラを向けてました。

丘から降りてきて、僕の側までわざわざ近づいて捨て台詞を吐いていく兄ちゃんもいたけどね。簡単に訳したら「カッコ付けて、いい人ぶって」みたいなこと言われましたよ。

正直残念やったし、なんでお前みたいな奴の命を守るためにドキドキしなあかんねん、とも思ったけど、いつか彼が、熊に襲われた人のニュースをみて僕のことを思い出してくれることを願っています。

(まあ、僕もそれなりに興奮してたので「だまれ、アホたれが」って言い返しはしましたけど・・・言った後ちょっとだけ後悔した・・・)

いやー、まさか一昨日の今日でこんな熊さんとの出会いがあるなんて、やっぱり春やね。

もしこのブログを読んでくれている人がいて、もしどこかで野生の熊に出会ったら、絶対に車から降りないで、熊には近づかないで下さいね。お願いです。


これくらい小さな熊さんやったら好いんやけどね。(人に慣れて餌をねだりに近づいてきたシマリスくんです。でもね、餌をあげてはだめですよ・・・)


最後に癒しの、バンフの街を一望する一枚です。

明日からは通常営業。頑張ろう。

追伸:実はこの最後のNorquayの丘に登る道中にも黒熊の小熊に遭遇。残念ながら写真は残ってないけどね。いや、熊は可愛いんですよ。ホントに。でもね、僕たち人間は自然に脅威を感じて、自然を尊ばないといけないと思います。

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