2015年6月18日木曜日

Ghost of the Gravel

少し時間が経ってしまったけど、先週末はカルガリー近郊のコックランで開催された、Ghost of the Gravelというレースで走ってきました。一応ロードレースという位置づけなんやけど、その名の通り、途中に総延長60キロにおよぶグラベルロード(砂利道)を組み込んだ形式のレースで、通常のレースとは随分趣が違う。しかも全てのカテゴリーが144キロのコースでレースをするという、これまたかなりチャレンジングなイベント。

という訳で、とりあえず用意したのは28ミリの幅があるロード用としては一番太い、しかもめっぽうパンクに強いというコンティのゲイタースキン。これをムスコカに装着して走ります。

それと同時にこのレースに間に合ったのが、新しいロード用シューズのS-Works。
3年前に買ったロード用S-Worksは巻き取りの部分が弱くなってしまい、レースでは使えないので新しいモデルを新調。新しいモデルといっても、去年上部構造が全く同じのMTB用のS-Worksを買っているので、履き心地はバッチリ。自分の頑張りが直接自転車に伝わるところなので、他を節約してもシューズだけは譲れません。

ちなみに今年はトラックレースとロードでのクリットのようにショートレースに集中してトレーニングしているので、今日の144キロのレースはハードトレーニングとしての位置づけ。今の自分の力では144キロレースすることはちょっと難しい。そのためにレース前には幾つかの目標を設定。

一つは、いつものことやけど、とりあえず最後まで気持ちを切らさず走り切ること。二つ目は、出来るだけ前の集団にくっ付いて走れれば良いけど、そのためにレッドゾーンで走り続けて、後半ヘロヘロの走りになるようなら諦めてドロップすること。三つ目は、初めの二つと関連して、途中の長く続く登りでも高いケイデンスを保ち出来るだけ出力を一定に走ること。最後に、将来カテゴリーが上がって長いロードレースを走るようになったときの練習に、(アイアンマンバイクを思い出し)常に補給に気をつけて走ること。

こういった目標設定はいつも大事にしているけど、このレースほどこれらが活きたレースは今までに無かったかも。

天気予報は見事に外れ、レース当日はどんより曇り空。気温は10度以下。しかも北西から吹き付ける風で出だしは超向かい風。スタート直前になって小雨が降り始め、それがスタートしたとたんに本気の雨に。一瞬のひらめきで上着をもう一枚重ね着したのが幸い、もの凄い寒いスタートやった。

予想以上の悪天候に、スタート直後に棄権する人が続出したそうな。

スタート直後は位置取りも上手くいき、前方5番目くらいで風を避けながら順調に走り出した僕やったけど、ペースは徐々に上がっていき、10キロほど走った辺りにあった少しキツめの登りで遅れ始めズルズルと後ろへ。結構パワーも出てたし、出だしのここでいきなりマッチをつかってしまったら・・・という一瞬の気の迷いで前と少し差が開き、それが向かい風のせいでなかなか詰められず、そのままどんどん差は開く一方。

今思えばあそこでもう少し踏ん張っていれば、後のレース展開はもう少し違ったものになってたかも知れんけど、とりあえずは初めの目標通りそこからキチンとハードトレーニングとして走り続けることに設定変更。

(いきなりドロップされてしまった後暫く一人で走っていた僕。誰かが撮影してくれていたみたいやけど、これが唯一の写真。こうやってみるとやっぱりヘルメットの色が合ってないなー。)

その後は遅れてきたカーティスを含む数人の集団にくっ付いて走りながら体が解れるのを待って、35キロ地点からそのグループから抜けて前に行き、自分のペースで走ることに。

40キロ過ぎからいよいよグラベルロードの開始。ランディーではグラベルロードを走ったことがあるけど、ムスコカでは初めて。前日から降っていた雨で地面が泥濘んでいて、所々タイヤを取られるけど、さすが28ミリのタイヤは思った以上にスムーズに走ってくれました。

ちなみにグラベルの道はこんな感じ。
この辺りは太陽も出てきて随分暖かくなってきてた。

グラベルが始まった辺りで元TCRでのチームメイトのケンドラに追いつき、そこから20キロほど続くダラダラ時々急な登りを一緒に応援しながら登り切り、なんとか2人で67キロ地点の最初の頂上に到着。そこのエイドで一休みした彼女とはそこでお別れ。彼女と一緒に走ってきたことでなんとか気持ちを切らさず登り切れたけど、あれが一人やったら堪えてたやろうなー。

そこから暫く続く下りの区間で自分の状態をチェックして、意外と大丈夫なことも判明。なんとか体勢を立て直し、後半に向けて気持ちの切り替え。

そこからは前で潰れてしまった選手を一人一人と追い越していき、気分も上々に走り続けること1時間、ようやくグラベルセクションが終わった(今のところ・・・)。少し気温も上がってきたように思ったので、丁度そこにあったエイドステーションで上着を引き取ってもらい「後は50キロを猛烈に走り切るだけや」と気合いを新たにスタート。

(これが二つ目のエイドステーション。友達が2人ボランティアをしてくれていた。)

しかしここで上着を脱いだのは思いっきり裏目に。そこから暫くして強烈な雨が降り始めてきた。風も強い。幸いにも追い風やったからスピードは出てるんやけど、その分めちゃくちゃ寒かった。ただこの時に思い出したのは2月のハレアカラへの挑戦。あの時はもっと寒かったしもっと風も強かった。あれに比べればなんてこと無いわと強気で漕ぎ続けたら、30分ほどしたら止んでくれた。こういったメンタルはめっぽう鍛えられてる気がする。

その後暫くすると120キロ地点に待ち構えていたのがワイルドキャットの激坂。しかもズルズルのグラベルがびっしりで超難関。えっちらおっちら登っていると一瞬手が滑って、その勢いで足を地面についたら一気にピッキーンって左足が棒のように攣ってもうた。ただここで立ち止まってはアカンという本能からか、ズルズルの坂の途中で右足だけで再スタートして、なんとか左足をペダルに乗せてことなきを得た。あれはヤバかった。

その後も攣り続けている左足をなんとか誤摩化しながらワイルドキャットを制覇したら、次に待ち構えていたのは次はその反対側の下り。しかも登りと同様に新たにびっしり敷き詰められたグラベルのせいでハンドルはフラフラで、ブレーキは利かへんし(というかあのような路面でしかも高速でブレーキをかけようとすると余計にハンドルがフラフラになる)、もう決死の直滑降。(イメージとしては神社の境内の砂利を敷き詰めた道で時速40キロ近くで直滑降している感じといえば伝わるかな?)

人生で一番恐怖を感じた下りで、集中力を切らしてパニックになっていたら大事故になってたかも知れん。砂利の少し浅い道路の端の方に徐々にズレていきながら、万が一転けてしまったら道路を外れて草むらに突っ込めるように体勢を整えてスピードが落ちてくれるのを祈ってた。

次第に傾斜が緩やかになりスピードも落ちてきたと思ったら、丁度グラベルセクションも終わってくれた。あれほどホッとしたことは無かったわ。

そこからはあと10キロほど。時々鞭を打つようにスプリントの練習なんかもしながら、交差点でボランティアをしてくれている人たちに「ありがとう」と言いながら気持ちよく走り続け、なんとか5時間42分で無事完走することが出来ました。

結果は出走24人中完走が21人で、そのうちの14位。まあまあの出来かな。ただ結果はともかく凄く良いトレーニングになったし、144キロあの状況の中で(足を攣りまくりながら)集中力を切らさず走り切れたのはかなり嬉しかった。レース前に設定した目標もしっかり達成できたし。

ただ「レース前のウォームアップをもう少ししっかりとしていればなー」とコーチのアンドリューに話したら、彼は「もちろんそういうこともあるけど、でもレースの初めはみんな大概そういうもんで、その部分をウォームアップとして捉えて耐え忍ぶのも大事やで」と流石彼ならではの含蓄のある意見。今度あのような場面に出会った時にはしっかり頑張るようにしよう。

レースの後には途中引っ張って助けてくれたカーティスと、お互いの健闘を称え合って、お揃いのスパンデックスパンダのボウシを被って記念に一枚。パンダ好きがこんな所にも・・・
いまジャージも作っているところだそうです。

6時間近くにもおよぶ激走でドロドロのムスコカ号。こんなにドロドロになったのは初めてかも知れん。

ちなみに、CTBLで一緒に走っているジェイクが僕たちのカテゴリー5で3位入賞。
彼もエイデンと一緒でまだ高校生。末恐ろしい10代が犇めいています。彼らの成長に40前のおじさんがついていくのは大変です。

そしてアンドリュー(右)は見事Cat1/2で3位入賞。
こんな凄い選手が身近に沢山いて、いつも刺激をもらっています。

レースの後はバーベキューでホットドック。
しかもポテトサラダまでついてる。スタート直後と打って変わって見事青空の陽気が戻ってきて、みんな幸せそうでした。

無事に家に帰り着いて、まずなりより、体力のあるうちにムスコカ号の洗車。
ピカピカにしてあげました。お疲れさま。

夕飯は何所かに食べに行こうかとも思ってたんやけど、意外と体力が余っていたので
久しぶりの豚キムチを大量に作りました。作りすぎたかと思ったけど、あっという間にペロリと食べてしまいました。相変わらず運動後も胃は丈夫なようです。

これが上の写真で被っていたスパンデックスパンダのボウシ。
パンダがハイファイブしています。

読み返してみたら、めちゃめちゃ長い投稿になってしまってるけど、まあ自分の思い出のためやし良いやろう。もし最後まで読んでくださった方がおられましたら、大変有り難うございました。

先週の初プライズチェックに引き続き、無事完走をビールで乾杯。

この週末は再びエドモントンでトラックレースです。頑張ってきます。

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